スケジュール:講義・ゼミ・会議等の予定表
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 授業のねらい

ギリシア・ショックに端を発するユーロの暴落やEUの同様、世界貿易に対する中国をはじめとする新興国のプレゼンスの向 上、さらに、リーマン・ショックを契機として先進国市場は縮小し、信用収縮が起こっている。このように現在の国際貿易は複雑性、不透明性を高め、WTO ドーハラウンドの合意は進まず、貿易の管理組織が十分であるといえない。
 他方、日本の貿易も大きな転換期を迎えている。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加の決断をしなければならない。また、想定外の円高や資源価格の上昇も、国内経済に大きな影響を与え、日本は31年ぶりに貿易収支が赤字になった。
 こうした、問題意識を基に、本講では、貿易の現状分析を行いその課題を追究し、また、このような経済環境におけるビジネスのあり方を考える。同時に貿易論の基礎理論の習得を目指す。
  単純に考えても貿易論の範囲は、(1)貿易の理論、(2)国際経済、地域経済事情、(3)国際機関、市場統合・協定、(4)日本の貿易、(5)貿易、国際 経済史、(6)関税をはじめとする貿易政策、(7)為替理論、(8)対外直接投資(FDI)・国際生産の理論、(9)多国籍企業理論、(10)グローバル 戦略(輸出、FDI、ライセンシングの選択等)、(11)貿易商務などあまりに幅広い。
 本講義は、経営学科の配当科目でもあるので、伝統的な貿易理論よりも、貿易動向、対外直接投資さらに多国籍企業や国際競争の問題にウエイトを置く。
 また、講義のレベルは、現状分析では最終的に通商白書がある程度理解できるレベル、理論研究では最低限の用語が理解できるレベルを目指したい。
 さらに、出来るだけ、リアルタイムの話題にも触れるように心掛けたい。

達成目標

大学専門課程の貿易論としての必須の知識の習得が重要である。
例えば以下のものがあげられます。
①世界経済・世界貿易について一定の見識がもてること。例えば、通商白書の概要が理解できる程度。
②WTO、IMFなどの国際機関やFTA(自由貿易協定)などについて理解していること。
③貿易論の基礎として、国際収支、関税、非関税障壁、為替などについての専門用語がわかること。
④戦後の貿易の展開や通商問題などを把握していること。
⑤貿易論の基礎理論である比較優位理論や対外直接投資・多国籍企業理論の内部化理論や取引コスト理論が理解できること。
⑥企業の基本的なグローバル戦略を理解していること。
⑦貿易取引に必要な商務の基本を習得していること。
これらのことを通じて、現在の世界経済や貿易に対して把握でき、自分の意見がもてることが講義の達成目標です 

授業計画

講義を以下の5つのブロックに区切って多角的な講義にする計画である。
(1)ガイダンス-貿易論の課題:第1回-3回
貿易論の研究範囲や今日の主要な問題、および本講義の流れを解説する。
また、国際ビジネスに関する根本的な課題を概説する。
(2)国際経済の時系列分析:第4回-12回
問題意識を高めるために今日の世界経済の中からWTOや地域経済統合の問題を取り上げ概説する。
そして、現状分析に必要な戦後の国際経済の流れを概観する。
それと併せて、円の為替変動の問題、貿易摩擦の問題、貿易政策の問題などを解説する
(3)国際貿易の基礎理論:第13回-19回
貿易の基本原理を概説する。
貿易論履修者なら最低限知っていてほしい、「国際収支」、「絶対優位」や「比較優位」などの国際分業理論、さらに、貿易の実務についても概説する。
(4)国際ビジネス・多国籍企業研究- 歴史と理論:第20-27回
「企業はなぜ対外直接投資を行うのか」、「企業のグローバル化とは何か」といった問題を理論的に捉える。 そのほか、戦略提携やネットワーク経営など今日的な話題も解説したい。
(5)貿易・多国籍企業の展望- まとめにかえて:第28-30回
国際経済環境が激変する中、今後の展望の足がかりを考察する。
さらに、講義中に希望があったテーマを採りあげ解説する。
また、講義の質疑応答、まとめを行う。

※講義の中で、総合商社の機能等について、ゲストスピーカとして元三菱商事の笹倉優氏(魚津高校OB) を招聘し行います。

 成績評価の方法

講義の中で、逐次小テストなどを行い理解度をチェックします。

また、期末試験を実施し、併せて成績評価をいたします。

場合によってレポート課題を出します

 

 

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